今回は乗泉寺宝物庫の中から「草がくれ」というお歌の入った掛け軸を紹介させていただきます。
この掛け軸は、小川とそのほとりに芽を出す草の絵が描かれており、その左右に短歌を詠まれております。やはり黒墨で一筆で描かれた、迷いのない開導聖人の技術がうかがい知ることが出来る絵です。
短歌には「草かくれ 奈可累ゝ水毛 せ可れて盤 世にありかほ爾 音多てぬめり」とあり、現代の書き方に直すと「草がくれ ながるゝ水も せかれては 世にありがほに 音たてぬめり」という文字になります。
現代語訳は「草に隠れて静かに流れる小川も、堰き止められると、ここにいますよ、とばかりに、音を立てるようだ、という意味となります。
このお歌は、和歌としても一級だと思われ、開導聖人の歌人としての才能もうかがい知ることができます。