乗泉寺宝物「からかさ」

からかさ1

先日、乗泉寺にある宝物庫の整理を教務部でさせていただきました。

その際、いくつかの宝物の写真を撮りましたので、その中から良い物を随時、載せていこうと思います。

今回は、その中から開導聖人がお描きになられた掛け軸を紹介させていただきます。

この掛け軸は、縦120㎝、横40㎝ぐらいの大きさで、美しい文字の配置と絵の絶妙なバランスが何ともいえません。

 

間違いのきかない墨絵で、迷いなく一筆でさらっとお書きになるのは難しいことだと思いますし、その奥にはとてつもない技術の裏付けがあったことと拝されます。

からかさ2上には、「やぶれても をれてもさせる からかさを 金魚にかへば タッタ一疋」という御教歌が書かれ、下には、明治時代の庶民の何気ない生活風景を描かれています。

絵が入ることによって歌のイメージをより具体的にされるというお心遣いをされてます。

御教歌の意味は、破れたり折れたりして廃物同様になった和傘でも、さそうと思えばさせるその傘を、「金魚~、金魚~」と売り歩く金魚の行商人に出せば、金魚一匹と交換してくれる風習が、大正初期までの関西地方にありました。

 

からかさ3この御教歌の背景として明治12年4月、大井ゲンさんという女性が商売をかえようとして、開導聖人にご相談をしたところ、物事をすぐに諦めてやめるのではなく、よく創意工夫や努力をすることが成功の道であるとお諭し下されたそうです。

御奉公に当てはめて考えてみましても、

あの信者は駄目だとこちらの真剣な育成御奉公を抜きにして、簡単に投げ出してしまってはいけません。育成の工夫をして、どうすれば御利益を感得させられるかを考えなさい、とお教え下された御教歌です。

(出典:御教歌事典 御法門資料要録)


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