1月26日の御講席での御法門を聴聞させていただきました。
御教歌
塩なめて くらした時を 忘るゝな 朝からさかなで めしをくふとも
一生懸命ご法様におすがりをし、御利益をいただいた時のことを忘れない、つまり初心の信心を忘れないことが大事です。
江戸時代の京都では、塩漬けの鯖が御馳走でした。明治18年の当時、普段の食事は一汁一菜で、経済不況により食料もなく、餓死する人もおりました。今の時代では朝から魚を食べられますが、昔の大変な時代を忘れてはいけないのです。
ご信心においても初心を貫き通すことが大事です。我見(自分だけの偏った考え方)を入れず、最初の純粋に一生懸命ご信心に励んでいた時の気持ちを忘れないことです。人間の悪い習性として、慣れてくると初心を忘れてしまうということがあります。
室町時代の世阿弥(「能」観世流)の言葉にこのようなものがあります
①初心を忘するべからず=初めて舞台に立った時の緊張感や感動を忘れないこと。
②時々の初心忘るべからず=30代40代になるとドキドキしなくなるから、芸の感激を
忘れないこと。
③老後の初心忘るべからず=50代60代のべテランになると失敗しなくなるので、いつ
までも初心に帰ることを忘れないこと。
佛立菩薩道において、忘れてはいけないことには次のようなことです。
①入信した時の気持ち
②お役を拝命した時の気持ち
③お教化を授かった時の気持ち
また、世阿弥の言葉に「命には終わりあり、能には果てべからず」とあります。これをご信心に置き換えますと、「命には終わりあり、御奉公には果てべからず」となるのではないでしょうか。
開導聖人の御指南「信者受戒を忘れるべからず」
一日一日を大切にして精進をかさね、初心の気持ちをわすれなければ、謙虚な気持ちと態度が自然に備わるもの。寒い、眠いにうち勝って朝参詣に励み、初心の信心を忘れないことが大事と教わりました。(N.O)