田口スピーカー

先日、同僚のお教務さん達と一緒に江東区の新木場に行ってきました。お目当ては、
田口造形音響さんのスピーカーシステムの視聴と、「音の森シンフォキャンバス」という音響システムの試聴会。

音楽マニアの友人から田口スピーカーさんのことを聞いたのがキッカケで、今までのスピーカーとはまったく違うから、自分の耳で確かめてみた方が良いといわれました。

ご存じのように、仏教の儀式でも音というのは大変重要なパートにあたります。当宗の信心修行の基本である御看経は、南無妙法蓮華経を繰りかえしお唱えして、仏さまに声のご法味を捧げるわけです。また、法鼓や拍子木などの仏具は、御看経のリズムを一定に整えて、人々の心をひとつにまとめ上げたり、心の雑念を払うためのツールとして活躍します。

それに、仏様の教えを伝える御法門も、声を通じて、人の心に響いていくわけです。先師は「声仏事を為す」と仰せであり、いずれにしても音というのは仏教にかかせないモノです。そうしたわけで、お教務さんの中には音にこだわりをもった人が多くいますし、私自身も勉強のために足を運ばせていただきました。

いざ工房にうかがって、新型のスピーカーで音楽を聴かせてもらうと、確かにビックリするほど音の聞こえかたが違いました。

田口スピーカー1まず、驚かされたのがスピーカーの存在を感じないことです。目の前に設置された二つのスピーカーから音がでていると分かっているのに、その空間の全方向にスピーカーがあるように聞こえてくるから不思議です。空間全体に音がみちみちていて、体が包みこまれている感じです。

一緒に行った先輩も「音が耳から聞こえてくるのではなくて、音の波動が身体を突き抜けていくようだ」と仰っていましたが、確かにその通りで音のシャワーを全身に浴びているように感じるのです。

また、スピーカーのスペックは当然すごくて、再生可能となった音域のひろさにも驚きました。超低音でも音割れしないでクリアーに響き、超高音も心地よい鳴りで伝わってきます。お立ち会い頂いた専門家のご説明では、「楽器が表現する音をそのままリアルに再現することが可能になった」そうで、新型スピーカーの幅広い表現力、音のクリアーな心地よさは、素人が聴いても十二分にその違いが分かるほどです。

田口スピーカー2また、田口さんより「スピーカーから距離を置いて聞いてみると違いが分かるよ」と言われ、確かめてみますとこれまたビックリです。

普通なら、スピーカーから離れれば離れただけ音が濁ってしまうはずですが、田口さんのスピーカーの音は離れてきいても音のクリアーさが変わりません。

曰く「音の波面が崩れない」のだそうです。人の話し声の入ったCDを聴かせてもらったのですが、どの位置できいても耳元で人が話しているようにきこえてきます。理屈ぬきにすごいと思いました。

仮に、このスピーカーが本堂で使用されたなら、御看経でも、御法門でも、ご披露でも、言上でも、どういう聞こえ方になるんだろうかと想像して、一緒に参加して下された同僚と興奮してしまいました。

聞きかじった話ですが、従来のスピーカーですと、紙で作られたコーンという部分が音の波面を作り出すそうで、これは100年ぐらい前に開発されたシステムとのこと。田口造形音響さんの新型スピーカーは特殊な板をつかって音の波面を作りだすそうで、従来のスピーカーとは全く異なる音の波面を造りだすことに成功されたのです。

これまで100年間ズーッと変わらなかった、いや変えられなかったモノが、田口さんの開発によって歴史が塗り替えられたわけですから、本当にすごいことだと思います。

「百聞は一見にしかず」と申しますように、色々書いてきましたけど田口スピーカーの凄さは言葉で説明するのが難しいです。ぜひ一度、ご自身のお耳で確かめられることをお勧めいたします。「音の森シンフォキャンバス」については明日またアップさせていただきますのでお楽しみに。

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五欲と三毒

開導聖人は御教歌に
五欲とは したやのみたや かねほしや ねむたや人に よくいはれたや
とお示しです。

したや(色欲)、のみたや(飲食欲)、かねほしや(財欲)、ねむたや(睡眠欲)、よくいはれたや(名誉欲)の五つが五欲であるとお教えです。

これらの五つの欲望は、私たちが生きるためには、必要な物です。しかし、「もっと欲しい、もっと欲しい」と貪りの欲・貪欲を起こしますと、欲しい物が手に入らない時に、瞋りの心が涌いてきます。 そして、欲しい物を手に入れる為に、他の人を踏み台にしたり、傷つける癡かな行為をしてまでも、手に入れようとします。貪りの欲は苦しみの本です。

貪欲(餓鬼の心)、瞋恚(地獄の心)、愚癡(畜生の心)を三毒といい末法の私たちは、これらの心が強盛です。では、どのように鎮めたら良いのでしょうか、

開導聖人の御指南を拝見いたしますと
「貪は諸苦の因と。さて貪瞋癡の欲の根をたち切て。煩悩の枝葉 をからすを信心と云也」 

とお示しで、諸々の苦しみの原因である貪りの欲の根を断ち切り、患い悩ます煩悩の枝葉をからすためには佛立信心をさせていただき、お題目口唱をさせていただくことであるとお教え下されています。

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ブラジル本門佛立宗

いよいよ明日からFIFAワールドカップが開催されます。普段はサッカーに興味のない私ですが、このワールドカップばかりは少し見ようかなと思っております。FIFAワールドランキングで日本の順位は46位という事ですが、実力は世界に引けを取らないという評論家もいるようで、テレビを見ていると10位には入ると予想もされていたぐらいですから期待も高ぶります。

ところで、このワールドカップの歴史を少し調べてみたのですが、初めてワールドカップが開催されたのは、1930年にウルグアイで行われ、優勝賞品はワールドカップではなく、この大会を企画発案した当時のFIFA会長・ジュール・リメの寄贈した「ジュール・リメ・トロフィー」をかけて争われたそうです。

これまでの優勝国は、ブラジルが最多となる5回、イタリア4回、ドイツ3回、ウルグアイ、アルゼンチン各2回、イングランド、フランス、スペイン各1回の8カ国だそうで、今大会では、圧倒的な優勝回数を誇るブラジルで開催されます。

このブラジルという国ですが、実は本門佛立宗のお寺が11ヶ寺もある事をご存知でしたか?そして、その歴史は日本が渡伯して以来ということですから106年の長きにわたります。ブラジル開教を成し遂げられたのは茨木日水上人というお方で、6年前にはブラジル開教100周年を記念して大法要が営まれました。その様子を以前ニッケイ新聞が取り上げていましたので、以下その記事を掲載させて頂きます。

第一回移民船「笠戸丸」でブラジルへ渡った本門佛立宗が今年、伯国での開教百周年を迎えた。ブラジルにおける仏教のさきがけとなった同宗。節目の年を祝うため、日本からは第二十四世講有・小山日誠(にちじょう)上人ほか、70人以上の慶祝団が来伯。3月30日、リンスの大宣寺で営まれた記念法要には、全伯11カ寺から1000人を超える信者が参集した。同宗では100周年を記念して同寺敷地内に「茨木日水資料館」を建設。法要とあわせ開所式が行なわれた。

法華系の本門佛立宗は1857年、長松清風(日扇上人)によって開かれた本門佛立講が始まり。ブラジルでの布教は、第一回移民船「笠戸丸」で渡伯した茨木友次郎(日水上人、1886―1971)とともに始まった。

笠戸丸移民を計画した皇国植民社長、水野龍が信者だった同宗清雄寺の日教上人を通じ日水上人が渡伯。ズモン耕地から各地を経て、36年、ウニオン植民地(聖州グアイサラ)の松原米治氏の土地に最初の布教施設を建設した。同宗が伯国の正式認可を得たのは、渡伯から37年後だったという。

51年、リンス市に最初の寺となる大宣寺を創建。現在はサンパウロ、パラナ、リオ各州で11カ寺が活動している。信者は現在、約三千家族一万人。

小山日誠上人、慶祝団の一行は今月27日に着伯。イビラプエラの開拓先没者慰霊碑、水野龍の墓地などで法要を行なった。リンス大宣寺で3月30日午前8時過ぎから営まれた記念法要には、サンパウロからのバス6台を含み、全伯各地から千人を超える信者が参集した。

法要後、日誠上人は、渡伯後の苦難の中で続けられた日水上人の布教活動を「移民にとってどれほど大きな安堵を与えたか計り知れないものがある」と振り返り、「仏教の種をブラジルにもたらした」とその功績を称賛。故人となった教務、信者などの尽力にも触れ、さらなるブラジルでの布教活動に期待を表した。

ブラジル本門佛立宗の田尾清理事長は「きっと語り継がれることと思います」と法要への感謝の言葉を述べるとともに、日本からの慶祝団、ブラジル側関係者の協力に謝した。
-以下省略-
(ニッケイ新聞 2008年4月1日より)

日本から最も遠い国ブラジルは、未だなお治安の悪さから、今ワールドカップでも事故や事件が懸念されているらしく、無事に開催できるのだろうかと不安を覚えている人も少なくはないはずです。

当時の荒れ果てた地で上行所伝の御題目をお弘めになられた日水上人の御奉公は、並大抵のご苦労ではなかったはずです。私たち佛立信者は日水上人のご苦労の万分の一でも学ばせて頂き、これからの御奉公をさせて頂きましょう。

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仏様のお徳

信心の徳というのは、仏様のお心と私たちの心がピッタリと繋がって、初めて頂戴できるモノです。私達が御題目を唱え重ねた分だけ、信心のパイプラインが太くなり、仏様のお慈悲が上から下へとより多く流れてきます。

貯水タンクの水はパイプがつながっていれば、自ずと下の階へ流れていきます。蛇口をひねって水が出てくれば、パイプがしっかりつながっている証拠です。それと同じように、口唱折伏によって妙法の蛇口をひねれば、現証という仏様のお慈悲が流れてきます。信心のパイプがチャンと仏様のお心に届いていると、現証という確かな証拠として分かるのです。

妙法のタンクにどんな中身がこめられているのか、そんなことは知らなくても良いわけです。自分の身体でゴクゴク現証の味わいを楽しめば、妙法の功徳がスーッと身体に染みこんで、心の渇きも癒やされるわけです。即ち、現証のご利益を目の当たりにすれば、妙法の妙味たるその味わいを覚えて、同じく有り難さをしるキッカケともなり、つまるところ、御題目を信じないわけにはいかなくなります。

現証のご利益が実際に顕れれば、それが人の迷いを吹き飛ばすお折伏になって、仏様のお徳でお教化にもつながっていきます。お互い凡夫がいくら頭をつかって足りない知恵をしぼっても、とうてい仏様のお考えは理解できないのですから、素直な信心で、妙法の功徳におすがりすることが大事なのです。

私たちは現証の御利益を感得することによって、仏様のお徳をそのまま頂戴できるのですから、信心のパイプをつなぐ口唱折伏行にたゆみなく励まなくてはならないのだと感じる今日この頃です。

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弱点の克服

先日、「プロフェショナル仕事の流儀」という番組で、サッカーW杯日本代表、本田圭佑選手の特集が放送されていました。本田選手はみなさんもご存知のとおり、日本代表の中心選手で前回の南アフリカW杯でも大活躍をしました。

番組の内容は、主に本田選手の日頃のトレーニングに密着したものでありましたが、自分の弱点を見つめてその弱点の克服に取り組む、その真剣な姿勢に大変感銘を受けました。また、番組の中で本田選手は、「自分はメッシやクリスティアーノロナウドとは違う。唯の凡人です。だから練習するんです。」と言われていました。

本田 圭佑本田選手は、日本代表や海外のサッカークラブでの試合を見る限り、自身に満ち溢れ、プレッシャーも全く感じないというような姿で試合をしています。当然、自分にも大変な自信を持っているのだろうと思っていましたが、先の言葉を聞いたとき、それは慢心といった類ものではなく、大変な努力に裏付けされた自信なのだということが分かりました。

番組では、90分間のサッカーの試合中、最後まで走り切る体力をつけようと、現役の陸上選手と一緒にトレーニングをしていました。体力が人よりも劣るという弱点を克服するためだそうです。すぐには体力を付けることは難しいことですが、そのトレーニングで得たヒントを日常の練習にも取り入れて実行する、そうすることで弱点を克服するのだと本田選手は話していました。

弱点を克服し成長をする、その第一歩は自分の弱点を逃げ出さずに見つめる、そしてその弱点の克服に努める。私自身、自分の弱点というものが時として分かることがあります。そういった時、その弱点を克服しようと努めているのか。ほとんどの場合、「まあいいか、仕方がない」と逃げ出しているように思います。

より前に進もうと努める本田選手に、是非ともブラジルW杯でも活躍をしていただきたい。そして、私自身も一歩また一歩と前進できるよう、弱点の克服に努めていきたいと思います。
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大震災から3年経って

東日本大震災から今年で3年が経過致しました。震災直後にビートたけし氏が『週刊ポスト』誌上で語った『「被災地に笑いを」なんて戯れ言だ』というインタビュー記事は、当時大きな反響を呼びました。

先日、発売された著書『ヒンシュクの達人』(小学館新書)38頁にも収録されておりますので、抜粋してご紹介させて頂きます。

悲しみは本来「個人的なもの」

常々オイラは考えてるんだけど、こういう大変な時に一番大事なのは「想像力」じゃないかって思う。今回の震災の死者は1万人、もしかしたら2万人を超えてしまうかもしれない。テレビや新聞でも、見出しになるのは死者と行方不明者の数ばっかりだ。

だけど、この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、被害者のことをまったく理解できないんだよ。じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか、そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。それは死者への冒涜だよ。

人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。

本来「悲しみ」っていうのはすごく個人的なものだからね。被災地のインタビューを見たって、みんな最初に口をついて出てくるのは「妻が」「子供が」だろ。

一個人にとっては、他人が何万人も死ぬことよりも、自分の子供や身内が一人死ぬことのほうがずっと辛いし、深い傷になる。残酷な言い方をすれば、自分の大事な人が生きていれば、10万人死んでも100万人死んでもいいと思ってしまうのが人間なんだよ。

そう考えれば、震災被害の本当の「重み」がわかると思う。2万通りの死に、それぞれ身を引き裂かれる思いを感じている人たちがいて、その悲しみに今も耐えているんだから。

(中略)

逆を云えば、それは普段日本人がいかに「死」を見て見ぬふりをしてきたかという証拠だよ。海の向こうで内戦やテロが起こってどんなに人が死んだって、国内で毎年3万人の自殺者が出ていたって、ほとんどの人は深く考えもしないし、悲しまなかった。「当事者」になって死と恐怖を感じて初めて心の底からその重さが分かるんだよ。

以上、著書を拝見させて頂き、日本人の死に対する「向き合い方」をそのまま突きつけられたようなビートたけし氏の観点に私自身大変なショックを覚えました。

当時は「絆」や「助け合い」、「がんばろう」や「心を一つに」などなど、そんな耳障りの良いキャッチフレーズが至る所に溢れていました。もちろん、これらを綺麗事であると一蹴することは出来ません。

サザンカ

東日本大震災が未曾有の大惨事であったことは誰にでも理解出来ることだったと思います。

ただし当事者でないモノにとっては、ひょっとすると「死」とはあくまで他人事で、客観的なモノであったかも知れません。

東日本大震災に直面してもなお、私たち日本人の「死」に対する受け止め方は本当に変わったと言えるでしょうか。例えば連日テレビや新聞などで報道されている悲しい事件や事故をどのように受け止め、向き合っているでしょうか

私自身もどこかで「人の死」を客観的に傍観をしているような自分の心を深く反省をしなければならないと思いました。

高祖日蓮大士は御義口伝の中に「日蓮が云く一切衆生の異の苦を受くるは悉く是れ日蓮一人の苦なるべし。」と仰せでございます。

全ての人々の苦しみを心より嘆かれた御祖師様が現代社会にましませば一体どのような御奉公を遊ばされたであろうかと心が痛む思いです。

決して他人事で終わらせてはいけないことが世の中には溢れております。ビートたけし氏の文章を通して、今一度「死」に対する向き合い方、受け止め方を改良して、様々な悲しみや悩み苦しみを抱える方々の心に寄り添って、及ばないながらも一歩一歩ご信心御奉公を励ませて頂きたいと思いました。

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京都入学

ありがとうございます。四月から京都佛立専門学校に入学して早二ヶ月がたとうとします。私はこちらに来て、京都本山でのお給仕、そして教学面もやはり教務として大事な基礎を一から学ばさせて頂いております。

また、まだまだ半人前の私達新入生の信心に対する素朴な疑問なども丁寧に教えて頂き、毎日が全て新鮮で充実すると共に、頭にたたき込む事も多く疲れがたまるもので、今は良く寝る事が趣味になっております(笑)

今年の専門学校の入学者は6名です。九州・関西・関東と地域は事なり、教務歴も違いますが、皆20代と年齢が近い分、すぐ打ち解けることが出来ました。

なぜなら、最初の三ヶ月は6人が同部屋という事実(過去にないみたいですよ)。この環境でありますから、よく話す機会が多く、必然的に皆の個性、皆の長所、皆の熱い信心前(^^)等々、知ることが出来き、早い段階で打ち解けれたと思います。……なのでもう、同部屋はいいのでは(笑)っと思いながらも、やはりこの環境はとても大切なことであるなと実感しております。

それも、6人と少ない人数であるからこそ沢山話せて、お互いの自坊での御奉公の仕方や、多くの御利益談、また皆の話を聞いて、自分の反省すべき点など考えさせてもらえる場であるなと思えたからでございます。

一昔前は全国から常に学生は20名近くおられたと伺いました。まだまだ京都の生活は始まったばかりであります。私達は6人と少ない人数でありますが、少ない人数こそ異体同心を大事に、お互いに励まし支え合いながら、本山で学ばさせて頂く二年間を大事して、今後佛立宗のご弘通の一助となる教務となる為にも、今後も行学二道に精進してまいります。

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人間と動物の違い

喜び私たち人間と動物に共通する本能というものがあるそうです。 

一つは種族の保存の本能。つまり子孫を残そうとする本能です。 そしてもう一つは、自己保存の本能で、自己の生命を維持・発展させようとする本能です。食欲や睡眠欲など命あるからには無事に生き続けたいと思う本能のことです。 

こういった人間と動物に共通する本能がありますが、それでは人間だけがもつ本能があるのをご存じでしょうか。 

それは、「喜ばれるとうれしい」というのが人間だけがもつ本能なのだそうです。人に喜んでもらえると自分も嬉しいと思うことは、どなたも感じたことがあると思います。

例えば、贈り物をするときに、なにが相手は喜ぶだろうと、一生懸命に考えて渡したプレゼントを、相手が本当に喜んでくれると、渡したこちらも嬉しくなるものです。

そう思えることが、私たち人間だけに与えられた本能なのだとしたら、他の人はどうでもいい、自分のことだけ考えればいいというのでは非常に残念な考え方です。

他の人の幸せを願いさせていただくお教化などの菩薩行が、自分の幸せのためにもなるという、仏さまのみ教えは、「喜ばれるとうれしい」という私たち人間の本能を呼び覚ましてくれるものなのだなと、改めて菩薩行の大切さを感得しました。

他の人の幸せ、喜んでいただこうと考える仏教のみ教えが、一人でも多くの人に伝わるよう、私たちはご奉公をさせていただきましょう。

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サッカーブラジルWカップ 日本代表選出を思う

いよいよ、4年に一度のサッカーの祭典、Wカップの日本代表のメンバーが発表され、大会へ向けての機運が盛り上がってきました。 単一のスポーツ競技では、世界最大の規模を誇る、サッカーのWカップ。日本も本大会出場の常連国となった感がありますが、もともと1978年のアルゼンチン大会までは、本大会の出場国はわずか16ヵ国でした。

その後、32ヵ国となり、現在の48ヵ国に落ち着いたのは、実はつい最近のことです(最近といっても4年に一度なので結構、さかのぼりますが)。

前置きはこれくらいにして、日本代表のメンバーですが、選ばれた選手達には精一杯のプレーを見せてほしいものです。メンバー云々に関しては、いつの大会もそうですが、色々の意見、見方があり、簡単に持論を展開するのも語弊があるので申し上げるつもりはありませんが、海外で活躍する選手が増え(特にビッククラブ所属の)、選ぶのに一番苦慮したのは、監督とそのスタッフではなかったかと思います。心中お察しいたします。

さて、メンバー選出で私が一番記憶しているのは、74年大会のオランダ代表です。結果からいえば、当時、ヨハン・クライフを中心に斬新な戦術であった「トータルフットボール」を具現化して準優勝し、大会にセンセーションを巻き起こしました。

しかし、当時のオランダ代表は、大会前は優勝候補でもなく、ダークホースのうちの一つと専門家には見られていました。同国のクラブ、フェイエノールト・ロッテルダム、アヤックス・アムステルダムがヨーロッパ・チャンピオンズカップ(ヨーロッパ・チャンピオンズリーグの前身の大会)で、70年から4年連続で優勝していたのですが、実は代表チームの評価はあまり高くありませんでした。

監督も予選突破した後、大会2ヶ月前に当時、スペインのバルセロナで指揮をとっていた、リニュス・ミヘルス氏(FIFAが20世紀最高のサッカー監督と表彰した人物)をクラブの許可を得て強引に招聘するような体たらくだったのです。

選手も、正GKであった、今も同国最高のGKの誉れ高いPSV(フィリップス・SV)・アイントフォーフェンのファン・ベベレン、DFのバリー・フルツホフ(アヤックス)はケガ、MFのゲリー・ミューレンは子供の病気に寄り添うため、それぞれ不参加。リベロのイスラエル(フェイエノールト)は、実父の死去の為、参加が遅れるという有様で、レギュラーの選手を欠いて大会に臨むことになったのです。

そこで、ミヘルスやクライフが考案したのが、「トータルフットボール」という戦術でした。この戦術に関しては、専門書をお読みいただくとして、まさに「ケガの功名」というか、それまでは、ごく普通のサッカーで予選突破を果たしたのですが、大勢のレギュラーを欠いて望むことになった本大会では、逆に開き直って活路を見出すことになったのです。

ブラジル大会に臨む日本代表も、少なからず不安があるかもしれませんが、万全だから好結果が残せるものでもありません。なにがどういった縁で結果に結びつくか、私達にはまだ、なにも解らないのが本当のところだと思います。

フランツ・ベッケンバウワー

 

最後に皇帝フランツ・ベッケンバウワーの有名な言葉を
「最高のチームが勝つのではない。勝ったチームが最強なのだ。」

 

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大人入り

五月も半ばを過ぎて日中に外を歩いていると、じんわり汗がにじみ出てくるようになってきました。乗泉寺の境内ではゴールデンウィークあたりから筍が生え始め、「竹の子の親勝り」というように、今では古参の竹と変わらぬ背丈に成長しました。

ところで、今春から生活環境が大きく変わった人たちにとって、ゴールデンウィーク明けのこの時期は、「五月病」という病名があるように人生の分岐点になるようです。

意気揚々と新生活に期待をしていた分だけ、社会の厳しさを目の当たりにすると、自我と現実にギャップが生じて環境に適応できず、心がくじけそうになるというのも想像に難くないことです。

新しい環境になって自分のアイデンティティーを問われた時に、これまで自分がどれだけ周囲の助けを受け、家族や友人などに心を支えられていたか、ひしひしと身に染みるのではないでしょうか。

けれども、私達はそんな現実の中で、どうにか自分の立ち位置を見つけ、新しい因縁を大事にしていかねばなりません。

人間は外からの因縁によって幸せにも不幸にもなるものです。自分の因縁をどのように受けとめるかによって、私達の人生がガラリと変わって、良くも悪くもなっていきます。

人との出会いもその一つで、学生時代に良い先生と巡り会えたお陰で、世間から不良少年と言われていたような人が、たちまち更生できたりする。それは不思議なご因縁としか言い様のないものですが、良い因縁に巡り会えるということは、かけがえのない財産を頂戴しているのと同じことだと申せます。

凧揚げをする場合などもそうですが、ただ力任せに糸を引っ張っても、糸が切れるか地に落ちるかで、風の力を借りなければ凧が揚がらないように、私達もあまり我を張ってわがままな生き方をしすぎると、肝心な因縁の糸が断ち切れてしまうわけです。

人生の進み方が無軌道になってしまえば、自らの愚行によって自らを地におとしめる、ということになりかねません。そうした意味でも仏教では、因縁を大事にしなければならない、といつも教えられるのです。

今まで育んできた人間関係はもちろん大切にしなければなりませんが、同時に、新たな人間関係を築きあげていくことによって、そこからまた、無限の可能性がひろがっていくわけですから、あまり悲観的になりすぎないで、心を前向きにもちたいものです。

「竹の子の親勝り」というように、厳しい社会の中でもまれていけば、大人入りもすぐ間近でしょうか。お互いにがんばりましょう。

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お香のかおり

京都に来て一年が経ちますが、様々な場面で東京とは違う魅力を感じさせられます。中でも折に触れ心なぐさめられるのは、街の随所で焚かれるお香のかおりです。

お香我が国には古来より香りを愛でる習慣がありました。それがこの街で発達し、洗練された事を思えば、当然の成り行きと言えましょうが、住民の暮らしに根付いているのを見る時、改めて文化の力の強さに感じ入ります。

松栄堂、石黒香舗、林龍昇堂。香りを商う老舗は多く、店先を通るだけでも馥郁(ふくいく)とした佳い匂いに包まれます。

室町通下立売上ルの山田松香木店には、におい袋や香木のほか、伏籠や伽羅枕も展示されており、かつてのお妃、姫君たちの暮らしを偲ぶことができます。

の他、光悦や楽歴代の香合もさりげなく飾られ、小さな美術館の趣を呈しています。販売品では白檀の数珠、沈香の扇子なども並べられており、その丹念な細かい技術に驚かされます。

私はこの店の「藤壺」というお線香が好きで愛用していますが、部屋で一息つく時にぴったりの心休まる香りです。これは隣の部屋の友人も気に入り、たまにおすそ分けをしています。皆さんも機会があったら、ぜひお使いになってみてください。

「栴檀の香風、 衆の心を悦可す」 これは法華経序品に示された御文です。

良き教えは、風に運ばれてくる栴檀の香りのように、多くの 人を悦ばせる、という意味です。さらに考えますと、その良き教えは人が弘め、伝えていくものです。やはりそのためには人柄が大切になってまいります。

一度つけたら肌にしみつき、時に強い個性を主張する香水に対し、お香のかおりは実にさりげないもの。ふわりと軽く、しつこくまとわりつかず、良い印象だけを残して消えてゆきます。わが姿もかくありたいものです。

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庵点(いおりてん)

少し前にご信者さんからの質問がありました。
「御教歌の前にある山みたいな記号って何ですか?」

御教歌確かに知らない人にとっては、不思議な記号ではないかと思います。私はずっと√と勘違いしていて、K.K師に間違いを教えて頂く機会がありましたので、この時の質問にはすぐ答えることが出来ました。

これは「庵点」(いおりてん)と言いまして、箇条書きの文書の頭、和歌・連歌などの肩につける記号です。開導聖人がお書物を書かれた時、その散文の中に御教歌を記述する際、御教歌部分の冒頭に配置して散文との区分をされております。

簡単に言いますと、文章の中に短歌を入れる時、短歌部分をわかりやすくする為につける記号ということです。

庵点知らなければいけないこと、というわけではありませんが、意味を知っていると、聴聞やそのほかの信行にも身が入る手助けになると思います。御給仕の仕方をはじめ、こういった少し疑問に思ったことの質問はこちらも勉強になります。

私自身、若輩者でありますので分からない場合もあるかもしれませんが、その場合も返事を保留させていただき、先輩諸師に伺った後、お答えすることができ、それも自分の良い経験となります。

いろいろな疑問点がありましたら、御講などの場で教務さんとの交流も兼ねて、質問をされてはいかがでしょうか。
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ベテランvs若手

先日、世界卓球東京大会をテレビで観戦させていただきました。卓球は普段見る機会がないためか、はじめは見ていてもあまり興奮しませんでしたが、段々と白熱した試合展開に興奮を覚えました。

男子の試合では、サーブの回転のかけ方、またスマッシュの迫力に驚きました。ラリーが続く場面では、とても目が追いつかず、どうなっているのか分からないくらいでしたが、それでも、ぎりぎりのコースを打っては返す場面では、選手の技術の素晴らしさに驚くばかりでした。

卓球女子の試合は、ダブルス準々決勝の日本対オランダの試合をテレビで観戦しました。福原愛選手が怪我のため、出場していないとのことで、どうなるのかと思いましたが、代わりに出場した石垣選手の試合には感動しました。

 

 

カットマンと呼ばれる、相手の打球をひたすら返し続ける戦法で戦う姿は、何かひたむきさというか、耐え続ける姿というか、悲壮感のようなものを感じ、応援にも熱が入りました。

その石垣選手の試合は、相手の選手もカットマン戦法を取る選手であったため、試合途中から「促進ルール」なるものが採用され、そこから一気に石垣選手が主導権を握り、見事勝利しました。

また、そのオランダ戦の中で、オランダチームの一員として戦う、中国からの帰化選手、リー選手活躍も記憶に残るものでした。リー選手は41才で元中国代表選手。世界選手権でのタイトルも取っている選手だそうです。(テレビ中継の紹介より)

そのリー選手は、とにかく強い。技術もさることながら、追い込まれても平然と相手のボールを打ち返すという精神的な強さに感動しました。そこには、普段からの並々ならぬ練習の裏付けと、豊富な国際大会での経験があったからではないかと思います。

残念ながら、リー選手には、日本のエースの石川選手もあと一歩のところで敗れてしまいましたが、世界の強豪選手と互角以上に戦う石川選手の姿にも、大変感動しました。

スポーツやその他いろいろなことにおいて、「ベテランの技術や経験」と「若い選手の勢いやパワー」との対決の構図があるものです。どちらが良い悪いということではなく、どちらにも良い面があるものだと思います。

特に若い側としては、とにかく勢いで押し切ろうとして、手痛い失敗をしてしまうことが多々あるものです。(わたしも失敗ばかりですが)

そこは、豊富な経験を持つベテランの方々のお力をお借りしようという、謙虚な姿勢を持つことで、良いアイディアが生まれる場合もありますから、ベテランの技術や経験を学ぶこと、また盗むことも大事であるのだなぁと思うところです。

 
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分相応に

ありがとうございます。

私は現在、板橋の信泉寺で御奉公させていただいております。初めは中々慣れない面もありましたが、本年2年目を迎えましたので、大分御奉公の流れも分かってきたところです。

さて、信泉寺は平成29年にお迎えする「開導聖人ご生誕200年」の年にちょうど創建50周年を迎えます。そこで信泉寺では「創建50周年記念御奉公」として本堂の耐震補強工事をしようとの声が上がり、今年の1月から工事を開始し、3月に無事完了しました。

開花信泉寺にとりまして平成29年はとても意義深い年と考え、佛立開花運動に力をいれているところです。

どうか他寺院のご信者も平成29年までに必ず開導聖人への報恩ご奉公を完遂させていただこうとの思いを新たに、「分相応」の御奉公にお気張りください。

私も微力ながらではありますが、精一杯の御奉公に励みたいと思います。

合掌

御教歌
成丈けの分相応の御奉公 かげひなたなく骨をしみなし
※分相応・・・自分なりに精一杯の御奉公をさせていただくこと

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ご信者さんを見て学んだこと

ありがとうございます。教務ブログ2回目となります。私はまだ教務になって日が浅いのでまだまだ分からないこともたくさんありますが、一つひとつ先輩お教務さんに御奉公のいろはを教えていただいております。

今は寺内の御奉公が中心ですが、時には助手という立場でお助行や御講席に随行させていただいております。お看経の言上などもまだ不慣れで、言葉をつっかえてしまう時もありますが、ご信者さんとふれ合いながら徐々に御奉公を学ばせて頂いております。

随行している時、自分では気が付かない色々なところを、ご信者さんに指摘していただけるので、自分の至らなさを反省すると共に、細やかな心配りなどとても勉強になります。

こういった客観的に見てくれる他人の意見を頂けることで、それまで自分では気づかなかったようなことにも気づかせて頂けるので、注意を受けたようなことをよく心に留めて、一つひとつをこれからの糧にしたいと思います。

また、寺内の御奉公をしているときなどに、ご信者さんがお寺参詣に励まれているのを見ると、ありがたい気持ちになって私ももっと頑張らなくてはいけないなと感じます。

良くできたご信者さんは当然のように毎日お寺参詣に励まれておられますが、中には我々教務よりも早起きをして、毎朝何時間もかけて遠いところからお参りしているお方もいらっしゃるので、こちらも気を張ってお看経に励んで、運僧という言上書を御導師のもとへお運びする御奉公なども、少しでもおごそかに見えるよう気をつけなければいけないと思います。

これからの季節、急に暑くなってくるので体調を非常に崩しやすい季節となります。御奉公は身体が第一です。ご信者さんもぜひお身体に注意して頂きたいと思います。

世間にもれずお寺も高齢化社会になってきてはいますが、お歳を感じさせないご信者さんの元気な御奉公の姿を見る度に、何ともありがたい気持ちで一杯になります。いつまでもお元気で御奉公されることを願っております。皆さんのご信心前から良い刺激を受けて、私ももっと自身の信心を磨いていかねばならないと思います。

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