あけましておめでとうございます。昨年は思いもかけない東日本大震災に遭遇し、全国の寺院より望外の御支援と御協力をいただき、感謝の至りに存じます。
災害寺院はこれからが正念場、復興に向かって一歩一歩前進しつづけてゆくので、それには長い時間とたゆまざる協力を必要とします。経力を頂いて再出発せねばなりません。
「渦福は糾(あざな)える縄(なわ)の如し」といい、渦が先、福が後、災いを轉じて幸せをもたらしていくことです。さて、宗門では門祖日隆聖人550回御遠諱に向かっての御奉公、お互い教講一体、協力の徳を発揮、法を弘めるという弘通の道にはげむこと。当宗の生命は弘通にあります。
いつの時代も弘通には困難が伴うので、舗道の上を車が順調に走りつづけるわけにはゆかないです。それには、お寺全体が弘通のできる雰囲気を作り出す。いわば空気づくりが大事。信者一人一人、全信者全弘通者という意気込みをもって、足をはこんで信者の喜びを語りかけるという信者を増やしましょう。
常題目、教化成就の為の口唱会、御利益談、体験談の発表、役中の御奉公の仕方、激励助行の促進など、さまざまな努力が必要です。手を拱いて傍観していたのでは衰微の一途をたどるばかりです。
少子高齢化の波がすごい勢いでおしよせております。幹部役中の老齢化、後継者の著しい減少、それに対し危機意識をもって対応してゆくこと、安閑としてはいけません。たえず後続者養成に取り組んで下さい。寺院は教講一体、お互いに信頼と尊敬の基盤の上に成り立っておりますので、それが崩れると、お寺の存続があやぶまれます。
お寺の宝は信者、信者一人一人に信心と灯を燃やしつづけることに専念。お寺参詣して良かった、楽しかったという喜びや感動、更に生きる勇気や希望を与える。これが大事な御奉公でして、信心は生きものですから一寸の油断もできません。つねにはげまし合いましょう。
御教歌 講中を たがひにすゝめ はげまして 御恩報じの 奉公をせよ