昨年の4月、主人は88才の天寿を全うしました。主人は数年来、脊椎の病気を患い、臥せっている時が次第に多くなり、起きるのは週に一回病院へ治療に行く時位になっておりました。それでも気分の良い時には御宝前の前に座りしばらくお看経をあげている事もよくありました。
聞くところによりますと、この病気は常に痛みにおそわれ、本人も又家族も大変つらい思いを強いられるそうですが、主人の場合はたまにはつらさを訴える事もありましたが、比較的平穏に過ごしている事が多くありました。看病する身にとっても大変有難い事でした。
ところが、一昨年の11月に右の肺にガンが出来ているとの診断を受けました。高齢であり体力も衰えている事でもありますので、医師の見解と家族の気持ちを考え合わせ、本人には告知せずにこのまま安らかに時を過ごしてもらったほうがいいという結論に達したのです。従って、手術や抗ガン剤の投与などはせずに在宅医療医師の世話になりながらこのまま家で過ごして貰おうという事にしました。
そして昨年の4月20日家族に見守られながら寂光へと旅立ちました。主人のいなくなった後、今までの色々の事柄が頭に浮かんでまいります。それにしても、病弱だった主人はあまりお寺参詣や御講参詣にも出られず、ご奉公も殆んどさせて頂けなかったのですが、病気療養中もそれほど苦しむ事なく又、臨終も穏やかな表情で旅立てたという事は実に有難い事と改めて感謝しております。
これも主人が御法様を信じてお任せしていた結果だったと感謝させて頂き、有難さが身にしみてまいります。この上は主人の遺志を受け継いで御法様をお持ちさせて頂く所存です。ありがとうございました。(T.E)