お寺の教区や部によっては、お年寄りの信者さんばかりのところと、子供さん連れで活気にあふれたとてもにぎやかな部とがあります。
泣いたり、お茶をひつくりかえしたりして大騒ぎとなるときもありますが、子供さん連れで若い母親が沢山おまいりして頂くのは、教務としてとても嬉しいものです。
御法門のとき、静かに聴聞させようとして若いお母さんが、やっきとなって、気をもんでいます。けれど、子供は不思議にはしやいで嬉しくてたまらぬらしく、叱られると、その時はよいが、又、すぐに飛びまわります。
子供の性格や、年令、性別、それに対する母親のなだめ方、そんなことがいろいろに組み合されて、千変万化の親と子の「ちえくらべ」が展開されます。
こういうとき、ハタ迷惑になるから子供を連れて母親も外に出て、御法門を聴聞しないというやり方になりやすい。これで一往の対応策としてよいように思っていられる方があるでしょう。然しこれで満点の処置といえるでしょうか。
親と子のちえくらべでどちらが勝ったと判定しますか。少し工夫して、智恵を働かせて子供を静かにさせ、自分も御法門聴聞し、他の人にも迷惑をかけない方法を工夫したとき、親と子のちえくらべで、親の勝ちといえるのです。
事前に子供によく話をしておくか、御祈願しておくとか、何か静かにしていられるような本を与えるなどして、工夫してはどうでしよう。只連れて行かなければそんな心配もないかわりに、法灯相続への道も遠のくのです。なんとしても連れてお参りして、しかも、うまく聴聞させる工夫が肝心です。(昭和44年11月号、乗泉寺通信)