靴好きの戯言 ①

最近、電車など公共の交通機関を利用して感じるのは、男性がおしゃれになったなあということです。若い方はもちろんですが、おそらく定年を迎えられて奥様とお二人でどこぞえデートという年齢の方(もちろん、こちらの想像ですが)も、特に高価な物を身に着けているというようにお見受けしなくとも、センスの良い着こなしをされているのを見ると思わず拍手したくなることも少なくありません。

ただ、唯一勿体ないなあと思えるのが、足下、つまり、靴です。欧米では、「フットウェアー」と呼ばれるようにファッションの大きな一要素、パーツです。そもそも、「ドレスコード」という言葉があるように、洋服(和服にも、もちろんルールがありますが)には、その場、その場に応じた着こなしというか、ルールがあります。

例えば、タキシードは夜の正装で、昼間に着用するのはルール違反。というように適当に着飾ればいいというものではありません。そういった中で、ぞんざいになりやすい足下について雑感を述べてみたいと思います。

筆者私物①素材
靴の素材とひと言でいっても色々ありますが、通常は天然皮革、特に牛革が一般的です。

「皮は鞣(なめ)すと革になる」というように、天然の皮はそのままでは使い物になりません。鞣すという行為があってはじめて素材になります。

牛・馬・鮫・鹿・豚等々、みな、鞣して使用します。この鞣し方にも天然の素材を用いた鞣し方と化学製品を用いた鞣し方がありますが、現在では、化学製品を用いた「クローム鞣し」という方法が主流です。なぜかと言えば、こちらの方が、短期間で大量の皮を鞣せるからです。

よって天然鞣しの素材は必然的に高価といわれています。牛革なら、靴に最適と言われているのが生後二、三ヶ月の仔牛の皮。いわゆる「カーフ」といわれるものです。それ以後を「キップ」といいます。しかし、今は以前起こった、BSE問題(狂牛病)で素材の絶対数が減少したため、生後六ヶ月までを「カーフ」と位置づけているみたいです。

ちなみに、日本では、スウェードをバックスキンと同じという認識の人がいますが、バックとは雄シカのことで、スペルもBACKではなくBUCKです。英国ではスタッグともいいます。また、最近では人口皮革の素材もあり、どれがベストかは個人個人の好みや使用する環境によって選択すればいいものだと思います。

いずれにしても、天然の物は仮にも生き物の生命あっての物ですから、動物達への回向を忘れず、そして大切に使わせていただきたいと思います。

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