我が身をくだりて

人間の悪いところの中に、ちっぽけなプライドにこだわる、というところがあります。人から施しを受けることを恥と思い、人に頭を下げることを恥と思い、素直になれない気持ちです。

個人個人は、それを「わたしにもプライドがある」と思っているのだとは思います。しかし、「プライド」とは、なんなのでしょうか。おそらく、人が「わたしにもプライドがある」と口にした時には、次の二通りのパターンがあると思います。

①自分には譲れないものがある。その誇りを踏みにじられるワケにはいかない。
②オマエごときに何か言われる筋合いはない。

いかがでしょうか。この二通りのパターンですと、圧倒的に後者の方が多いのではないでしょうか。

会話の最中に激高する人がいたとして、その人が怒ったその理由とは、得てして自分の主義主張を否定されたり、相手から下に見られたと感じたときなのではないでしょうか。

人は、自分の思い通りに物事をはこびたいものです。それに対してケチがつくと、激しく怒りだします。それは、自分のプライド、尊厳が傷つけられたと感じるからです。

なぜなら、人は、己の我を通すことをイコール自分の尊厳、プライドだと思い込んでいるからです。しかし、我を通すことと、尊厳を護る事は、けしてイコールではないのです。

これは、私が学生時代の頃の話です。後輩に、いつもニコニコしていて、その場でなにか揉めそうになると「ごめんねー」と口にしてペコペコ頭を下げる子がいました。彼が怒ったところは一度もみたことなく、若造だった当時の私から見ると、ヘコヘコした奴だなーという印象でした。

ある日、学生同士の飲み会の席で、酒の勢いか彼に対して、「お前、いっつもヘコヘコしてて、プライドってもんは無いのか?」と聞いてしまったことがあります。すると彼は、真顔になってこう言いました。

「自分の頭ひとつ下げて物事まるくおさまるなら、安いもんじゃないですか?」

私は、酔っていた頭が急に醒めた思いがしました。彼にとって、自分の頭を下げる、人に対して「ごめんね」と口にすることなど、プライドが傷つくことではなかったのです。つまり、彼にとってのプライドとは、その場の和を保つこと、物事を進行させることにあったのです。

とたんに、彼に対しての印象が180度かわりました。ヘコヘコと情けない奴から、大局的に物事をとらえるすごい奴、に変わったのです。 

佛立開導日扇聖人の御指南に、「我が身をくだりて 人をたて 徳は人にゆずりて 苦労は我に引きうくるようにするを本因妙と申候」とお示しです。

自分の身を差し置いてでも、他人を尊重して、功徳を回し向かわそうと願う。その為の苦労ならば進んで引き受けようとご奉公に励むことが、本因妙=御仏のなさった御仏になる為の修行なのであるとお教えくだされます。

私たちにとって、他人を屈服させて、自分の我を通す事があたかも自分の尊厳となるように思いがちです。しかし、本当の尊厳とは、たとえ自分の頭を下げようとも、他人を優先しようとも、一つの物事を成就させることにあります。

偉ぶりたいことが尊厳では無いのです。なかなかに、難しい事だと思います。人間、そうそう人に物事を譲って、自分を後に回して遂行するということは、できません。ですが、世の中でも偉大だと思われる人は、どこかしら自分を後に回しても、世の為人の為にと努力した人が圧倒的に多いのです。

目先の小さな物事、こと自分が「プライド」と思っていることは、果たしてそんなにも重大なものでしょうか?「俺がさ-、俺なんかさ-、俺に言わせりゃさー」なんて口にしている人がいて、楽しいのは本人だけで周りは呆れているものです。

それよりも、もっと大きなこと。自分を生かす為には周囲の人を生かさなければならない。自分が楽しみたいならば、その楽しみを人とも共有できなければ本当の楽しみにはならない。

その先にこそ、本当の楽しみ、喜びはあるのです。お互いは、心の底から笑い合える、そんな人や状況の中に身を置きたいものですね。その為に我をへし折って、物事を進められることを、「プライド」と呼ぶのだと思います。

最後に、ある漫画からですが、心に残った一言を。

「人のために、っていうのは、クセになるね」

 
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