今から30年前の学生時代、居酒屋のアルバイトをあしかけ5年ほどしたことがある。大変親切なご主人で、なにも判らない私にホールの接客の大事なことや調理技術の基本的なノウハウを手取り足取り教えて下さった!
その中でも特に感銘を受けたのがご主人の包丁さばきである。
元来凝り性な私はすぐさま包丁を購入。それからの私は、家で時間があると大根の桂むきや魚の三枚おろしなどを何かに取り付かれたようにやっていた!
お陰で、私の両親は一週間のうち3回か4回はその残骸《大根のサラダや形の崩れた魚料理》を苦笑いしながら食べていた。
30数年経過した今でも、その包丁《柳包丁、菜切り包丁、出刃包丁》は私の宝物となっており、たまに時間があると当時の記憶をたどって『幻の一品料理』を作り出している。
そんな時、その料理を食べた高校生の娘がひと言、『今日のお料理はお父さんだよね!』と言ってくれる。少々照れくさい思いを持ちながらも、心の中で『当たり前じゃない』と思わずつぶやいてしまう。
『昔取ったきねづか』という言葉があるが、書道にしても字の上手い人に『上手いですね』と聞いてみると、『小学生の時にちょっと習っていましたので』という言葉が必ずと返ってくる。正に『昔取ったきねづか』だと思う!
でも、私達のご信心の世界ではこの『昔とったきねづか』は通用しない。『昔はよくお寺参詣したんですが、今はちょっと休んでいるんです。』とか、『昔はよく御奉公したんですがね。』と仰るご信者さんがいますが、それは『昔とったきねづか』ではありません。
私達のご信心では『日々新たに清く精進する』ことが大切で、そういったご信心を毎日怠らずさせて頂く中に、御宝前のご加護がより強く頂けるのであります。
『皆さん、何時やるんですか?』 そう、今しかありませんよね!
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