法華経の御文に『没在於苦海』(もつざいおくかい)とあります。これは、現実のこの世界には、苦が満ちていて限りがないことを海に喩えられ、諸々の衆生は苦しみの海の中に沈んでしまっていると仏様はお説き下されておられます。
また仏様は、この苦しみ海の中には、四苦八苦という苦しみが待ち受けているともお説きくだされおられます。生きる苦しみ、老いる苦しみ、病気の苦しみ、死を迎える時の苦しみ、愛する人との別れる苦しみ、憎しみ会う同士が居場所を同じくする苦しみ、情欲過多による苦しみ、欲望を満たし得ない苦しみ、とお示しで私達人間にはこのような苦しみ囲まれ生活しているのでございます。
確かにこの世の中で生活していく上で苦しく感じることの方が多いわけで、お金のこと、人間関係、そして健康上の問題と次々と苦しみが我が身に降りかかってくるものです。そして、その苦しみからはやく解放されたい、逃げ出したいと、どうしても考えてしまうのですが、苦しみは、一向になくならず、どんどんと増えていくばかりです。
では、その苦しみから解放される方法はないのかといいますと、そうではありません。仏様は、一切衆生はわが子であると仰せであり、先の四苦八苦をお説きになられたのも、このような苦しみを必ず受ける時がくるから、それに対する準備をしておきなさい、とお諭しくだされたもので、決して脅しなんかではありません。
そもそも仏教というのは、それらの苦しみを取り除かんが為に説かれたもので、それゆえに、苦しみに対する準備方法と、苦しみに直面した時に慌てふためかない為の対処方法というものをしっかりとお残しくだされているのでございます。
その方法というのが、今日末法においては、上行所伝の御題目の御信心というみ教えなのです。御題目をしっかりお唱えさせていただくことで、今受けている苦しみを乗り越えていこうとする勇気や、生きる希望というものが湧いてくるものです。御本尊にお任せして大きな声で口唱信行をさせて頂きましょう。明るい未来が必ず待っているものです。
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