今年こそ

御教歌:あらためて ことしこそはと おもふらめ やすまずあゆめ 信行の道

(てこのかたま・扇全15巻141頁)

 新しい気持ちをいだいて、精一杯心をこめて御奉公にはげみましょう。たえず、これからどうするかという問題意識を楽しんで、前進また前進させていただくこと。人生は決して穏やかな日々ばかりではなく、波風の激しい時もありますけれど、それを乗り越えてゆく所に生きがいを感得することができます。

コップに水が半分入っていた時、“あと半分しかない”というのと、“まだ半分ある”というのとでは考え方が異なります。“しか”と“まだ”との相違ですが、“しか”というのはなかば諦め気分、それに対して“まだ”というのには積極的な前向きな意欲が感じられます。私達は年齢を重ねても、つねに空老から実老へ、苦老から楽老へと変えてゆかねばなりません。

 お互い御同前は、周囲を明るく灯し続けつゝ、自分の身をちぢめてゆく、いわばローソクの火に譬えられます。特に「陽に説け」と教えられておりますので、陰気で暗いというより、陽気で明るいということが肝心です。それには、口唱と御法門聴聞とかたり好きの三好きの御奉公に励んでください。

 ① まず、口唱が肝心。当宗は口唱の味を身で体得することです。朝夕勤行怠らず、特に朝の御看経を重視しましょう。朝参詣に励むこと。特に一日に一回はお寺の御宝前にお参りすることです。お寺での口唱は弘通が基本です。一年に一戸の教化が授かりますようにと、お祖師様のお袖におすがりするという思いのこもった口唱に励んでください。

自分の頭の上のはえはお祖師様に払っていただくことです。そうすればおのずから罪障消滅の御計らいがいただけます。お寺は弘通の道場ですから法を弘めるという下種折伏が口唱の根本にならなければなりません。

 ② 御法門聴聞に心がけましょう。善聴参詣で聞き上手になって、自分自身の身にあてはめて、信心の洗い直し見直しをし、信心の垢をおとし、信心の改良につとめましょう。

 ③ かたり好き。良い話を人に話すこと。御利益談を喜んで伝えること。これが信者の大事な御奉公です。信者が集まったら、信心の尊さ、御利益の喜びを話し合ってください。得てして「好事門を出でず。悪事千里を走る」と申して、根も葉もない噂話だけが一人歩きして、人から人に伝わりやすいですから気をつけましょう。

  「只、御題目の唱へずき、御法門のききずきになりて、御利生を人にもかたりずきになって、今度の一生は日蓮大士の御弟子旦那の御奉公をたのしみに、しとげ給え。」

(安楽教導抄・扇全5巻45頁)

 


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